STORY
序章
今は昔、木花咲耶姫を深く慕う
一人の巫女がいた。
巫女は思い立ち、姫が祀られている
富士山本宮浅間大社を目指し旅に出た。
社から社へと歩き、富士山にまつわる言い伝えを一つひとつ拾い集め、書物へと編み続けた。
人々はいつしか、その巫女を
「想いの伝い手」と呼ぶようになる。
やがて時は経ち、想いの伝い手その人は
忘れられ、伝承だけが残った。
書物もまた散り散りになり、
行方知れずとなった。
一方、富士山は幾度となく噴火を繰り返し、
その度に人は祈りや儀式で
富士山の噴火を鎮めてきた。
その力を封じた札は、
富士山を祀る各所に保管されているという。
或る日、山の静けさを破る地鳴りが響き渡った。
その日、静岡と山梨の境の小さな村に、
二人の子が生まれる。
一人は絵筆を握る絵師の見習い、
一人は神に仕える巫女見習い。
二人は幼い頃から、「想いの伝い手」の
書物の話を聞かされて育った。
一人は散り散りになった書物を巡って、
一人は強大な力を封じた札を巡って。
山の頂へと続く、想いの伝い手の影を追い、
二人は富士山を巡る旅に出るのであった。
物語は、ここから始まる。



























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